4月に雑誌に掲載して頂いてから、ありがたいことにランチのお客様が増え、嬉しい悲鳴を上げていたのですが、7月に入った途端落ち着きました。
ランチは1日15食限定でご用意しているのですが、「雑誌を見て」とお越し下さる方が開店前から並ばれ、開店の時点で15人を超す事も度々。
それまでいらしてくださっていたご近所の方や、おなじみの方のお顔を見なくなっていました。
どちらの方にも少しでもお待たせしないで、一人でも多くの方に召し上がって頂きたい。
そう思って開店時間を30分早め、10食増やし、スタッフを増やしました。
喜んでいただけるように頑張ろう。
そう思いました。
ところが、月に4日しか営業しない為、市場の中の他のお店の方に問い合わせがあったり、場所をお借りしているお寿司屋さんの営業日に「おばんざいランチください」と注文される方がいたり、近隣のお店の入口を塞ぐように並ばれたりと、4月以降周りにご迷惑をかける事が多く、ありがたいと思うと同時に悩みの種でもありました。
あくまでケータリングの宣伝の場として、本業に繋げていくのが目的で始めたのに、別の方向に行ってる事に戸惑いを感じるようになりました。
ケータリングのご依頼が増えたわけでもないし…
このまま続けていていいのかな?
そう思うようになりました。
昨夜、おなじみのお客様から「雑誌見たよ、すごいねぇ」とおっしゃっていただいたのをきっかけにその話題になり、「雑誌の効果なんて一過性のものにすぎないから、そろそろ落ち着くと思います」と話しました。
「一時的な混乱に振り回される事の無いように、もう取材のご依頼はお断りしようと思っています」とも。
お待ちのお客様がいらっしゃるので、忙しなく食べてお話もろくにできないランチタイムでは、3〜4時間かけてゆっくりと寛ぎながら召し上がっていただくホームパーティのイメージは伝わりません。
媒体を選べばいいのかもしれませんが、クチコミでコツコツと、ご紹介だけでやっていく本来の姿に戻そうと思ったのです。
そんなお話をしていると、かわいらしい女性がおひとりでご来店されました。
初めての方でしたので、少しずついろいろ召し上がって頂ける夜定食をお勧めすると「それをお願いします」とにっこり。
お料理をお出しして召し上がられると「おいしいです」とにっこり。
「お近くですか?」と尋ねると、「沖縄からです」と驚きのお答えが返ってきて、更には「鎌倉が好きで、鎌倉特集の雑誌が出ると買い集めて、あそこに行きたいここに行きたいと、行きたい場所が増えるんです。今回は日程がひなやの営業日と重なったので、絶対に来ようと思って来ました」と、嬉しいお話を聞かせて頂きました。
「もう雑誌に出ないって言ったけど、撤回!出る!」
目先の利益にとらわれて、望み通りにいかない事に一喜一憂していましたが、こんなプライスレスな喜びが待っていたなんて。
居合わせたお客様も驚いたり喜んだりで、お話に花が咲き、一気に打ち解けました。
彼女の宿泊先のゲストハウスと近所というお客様が、最寄りのバス停に止まるバスを教えてくださいました。
お見送りの際、ちょうどお向かいのお店から出て来た馴染みのお客様もその近所にお住まいなので、バス停まで一緒に連れてってもらうようお願いすると、快く引き受けてくださいました。
すると、「歩いた方が楽しいわよ」と道中の案内をしてくださることになり、思いがけない夜のお散歩になったのでした。
見知らぬひととひとがひょんなきっかけで出会い、同じ場所で同じ時間を過ごし、旅の思い出になる。
そのきっかけになった雑誌掲載。
クチコミだけではなし得ない、大きな大きなサプライズプレゼントを頂きました。
ケータリングにこだわらず、その場(丸七ひなや)での出会いを大切に、どんな形でもひなやの料理を召し上がって頂ける事に感謝して、心を込めて作って行こうと改めて思いました。
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- 2012/07/13(金) 16:37:46|
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