ひなやのごはん

出張料理人ひなです。季節の野菜とやさしいおばんざいをお届けします。 

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わたしにできること

16年前、阪神淡路大震災の時、わたしは神戸に本社のあるアパレルメーカーで働いていました。
ポートアイランドにあった本社は、液状化現象で立ち入り禁止。
配属先だった百貨店やファッションビルは全壊。
街がかつての姿を思い出せない程、変わり果てました。

でも、他の地域はいつもどおり百貨店もファッションビルも営業していて、そろそろ春のお洋服がウインドウに飾られるという頃でした。
鉄道が寸断され、乗り継ぎ、歩き、迂回して、通常なら30分で行ける物流倉庫に3時間かけて、動ける者たちで全国に春のお洋服を出荷する作業にあたりました。
わたしもそのひとりでした。
ぎゅうぎゅうの地下鉄、途中の駅で降りるにも身動きができません。
周りのひとに「総合運動公園で降ります」と伝え、2つくらい前の駅あたりからからだを押してもらって少しずつドア付近に近づけてもらいました。
駅に着いても誰も降りません。
乗り込もうとするひとは何十人といます。
すると、近くにいた女の人が「この子降ります!」と声を上げてくれました。
そうすると、ホームにいたひとが「手ぇ出しぃ!」と声をかけてくれました。
必死に伸ばした手を、ホームにいた人が引っ張ってくれて、中にいたひとが背中を押してくれて、無事降りる事ができました。
たくさんのひとに「ありがとうございます」とお礼を言って、物流倉庫に向かいました。

だだっ広い倉庫には、縫製工場から届いて出荷されるのを待つ春物が一面に並んでいます。
それを各店舗ごとに振り分けて、段ボール箱に詰めて出荷します。
100店舗分の段ボール箱を並べ、1つの品番ごとに詰めていきます。
1店舗目から100店舗目まで詰め終わって、次の品番を詰めようと、1店舗目の段ボール箱に目を落とすと、コンクリートの破片が入っていました。
余震で天井が破損していたのです。
いつでも逃げられるように、荷物をすぐ傍に置いて、とにかく作業を進めました。
作業が終わって倉庫を出ると、また現実が迫ってきます。
ぎゅうぎゅうの地下鉄、疲れ切った顔のひとびと。
だけど、みんな互いを労り、思いやりながら、家族の待つ家路を急ぎます。
避難所に帰るひと、自宅に帰るひと、家族が一緒にいられる場所に帰ります。
そして、みんなで食事を取ります。
寒さの厳しい中で、あたたかいものは何よりの御馳走だったでしょう。
不安な毎日だけど、今夜も一緒に眠れることに、少しだけほっとして、新しい朝が来るのを待ちます。

震災から2週間程で、わたしは京都に転勤になりました。
京都は地震の被害も無く、これまで通りの日常が広がっていました。
配属先の店舗に出勤して、あの日決死の覚悟で出荷した花柄のワンピースを販売します。
なんとか機能を回復した本社で行われる展示会に、4時間かけて乗り継ぎ、歩き、迂回して、寸断された橋を飛び越えて行きました。
夕方、再び寸断された橋を飛んで、三宮の街に戻ります。
朝あったビルが倒壊して景色が変わっていました。
そして、また何事もない京都に戻りました。
美容院に行くと、隣りでシャンプーの練習を何度も何度も繰り返す美容師さんがいます。
なんてもったいない!と心の中で怒鳴りました。
「大丈夫でしたぁ?」と呑気な声で聞く美容師さん。
配属先のお店ではぺらっぺらのシフォンの花柄のワンピースを「かわいいですよね~」と笑顔でお勧めしているわたし。
このギャップに心身共に追いつかなくなりました。

わたし、なにやってるんだろう?
被災地では暖かく眠れる場所と温かい食事が求められているのに、お洒落なんてしてる場合じゃないのになにやってるんだろう。
衣食住っていうけど、「衣」なんて1番最後でいいじゃない。
そんな気持ちでいっぱいになりました。

8年後、わたしは赤坂でおばんざいの店を始めました。
華やかさは無いけれど、食べるとほっとするような、あたたかい料理でおもてなしできたらと、小路の奥の小さな店で毎日営んでいました。
そして今は、お客様をお待ちしていたお店ではなく、お客様に会いに行くケータリングという形で「食」に携わっています。
どんなに悲しい事があっても、どんなに辛い事があっても、おなかは空きます。
食べ物は血となり肉となって、からだを作ります。
こころをこめて作られた料理はおなかを満たすだけではなく、こころも満たしてくれます。
ひとりでも多くの方が、こころまで満たされるような、そんなお料理を作る。
それがわたしにできること。
まだまだ会いに行ける場所、食べてもらえるひとは限られているけれど、その日その時に出会ったひとたちに喜んで頂けるようなお料理を作り続けていきます。

この度の東日本大震災で被害に遭われた方々のご冥福をお祈り致しますと共に、こころよりお見舞いを申し上げます。

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  1. 2011/03/23(水) 00:09:36|
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ひなやのごはん会 その2

2月27日は年に一度の「ひなやのごはん会」
この1年、お世話になったお客様や支えてくれた友人たちに、感謝の気持ちを込めてお料理をいっぱい作って、おなかいっぱいになってもらう会。
遠方(都内だけでなく仙台や兵庫)からもご近所(徒歩2分)からもお集り頂いたのは、大人25人子供4人の総勢29名。
おなかぺこぺこにして大集合して下さいました。

ご挨拶は手短に、かんぱ~~い!

manpuku4.jpg [ひなやのごはん会 その2]の続きを読む
  1. 2011/03/03(木) 14:13:28|
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味噌作り

2月20日、逗子久木のとちぎやさんで、味噌作り体験のお手伝いをさせて頂きました。
津久井在来種の地大豆を使ったこのお味噌、とってもおいしいんです。
今年で3回目ですが、1回目の2年前のお味噌を今も大事に使っていて、ここぞという時のお味噌汁にしています。
去年のものはこの日の朝市の「豆腐の味噌漬け」に使用したら、史上最高の出来でした。

そんなおいしいお味噌の仕込みです♪
まずは社長さんからのお話し。
みなさんふむふむと頷きながら、真剣に聞き入っていらっしゃいます。
去年も参加してくださった方や、ケータリング先でお味噌汁を召し上がって「わたしも作りたい!」とご参加くださった方、前日のケータリングでお声をかけて急遽参加された方など、30人近い方が集まって(ちびっこもいっぱい!)、わいわい賑やかに味噌作りが始まりました。

miso.jpg

一晩水に浸して、朝からぐつぐつ茹でた大豆は、親指と小指で摘んで潰れる柔らかさにまでなっています。
その大豆を滑らかになるまで潰すのですが、1年目は杵と臼で突き、2年目は足踏みでと、なかなかの重労働でしたが、今年は挽き肉マシーンを使って、劇的な早さで大豆を潰していきます。

miso1.jpg

足踏みでやってみたい!という方は、頑張って踏み踏み!!

塩と麹をよく混ぜ合わせた所に潰した大豆を合わせてこねていきます。
大豆の茹で汁を50度以下に冷ました「種水」を加えて、よ~くこねこねしたら、保存容器に投げ入れやすいようにボール状にまるめて袋に入れて持ち帰ります。
↓こんな感じの行程。

miso2.jpg

おうちに帰ったら、容器に空気が入らないようにぎゅぎゅっと詰めて、塩で蓋をしてラップで表面が空気に触れないようにして、重しをして熟成するのを待ちます。
夏を越して、秋になるまで何度かお手入れをしましょう。
自家製のお味噌汁は感動的な美味しさですよ。
来年はみなさまも一緒に作ってみませんか?

うちのお味噌もおいしくなぁ~れ♪

  1. 2011/03/03(木) 14:13:00|
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お誕生会

2月のある週末、お誕生会のお料理を作りました。
1月にもお伺いしたA様のお宅は、すっきりシンプルかつ、木のぬくもりが感じられる素敵なおうち。
またおじゃまさせて頂いて、たくさん作りました。

aiharake.jpg

お品書きは、
*春のだしまき・新玉ねぎあん
*3色きんぴら
*菜の花のオイル蒸し
*彩り大根のハリハリ漬け
*大根の1本煮
*マグロのほほ肉グリル
*白子と里芋のクリーム煮
*穴子の蕪蒸し
*鯛飯
*蛤のお吸い物
*浅漬け

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新築されたお宅に奥様のご家族を初めてお招きしてのお食事会は、飾らないファミリーならではの自然な空気感がとっても良くて、キッチンから拝見しているとなんとも微笑ましい。
って、うっかりしていると、あっという間にお皿が空っぽになるので、急いで次のお料理をご用意しないといけなくて大慌て!

aiharake3.jpg

aiharake4.jpg

お祝いの鯛飯は、尻尾がはみ出ちゃうほどの立派なお鯛さん。
鰹と昆布のお出汁に、少しの薄口醤油とお酒、鯛から出る塩気で炊き上げると、なんとも香ばしい湯気がしゅんしゅんと広がり、しあわせな気分になります。
土鍋の底がぱちぱち鳴り始めたら、お焦げの合図。
よ~く耳を澄まして、ココ!というタイミングで火を止めて、15分蒸らします。
お席に運んでお披露目した後、身をほぐして混ぜ込んでいきます。
↓は鯛の鯛。

aiharake6.jpg

真鯛の肩甲骨だそうで、鯛と同じ形をしているので、「鯛の鯛」。
縁起物でお財布に入れるとお金が貯まるんだとか。
ご利益がありますように。

おなかいっぱい召し上がって頂いて、奥様ファミリーがお帰りになった後で、Aさまご夫妻とお茶を頂きながらお話しをしました。
いつもは無口なお父様が、この日は「おいしい」って何度もおっしゃったそうで、奥様はとても驚かれたんだそうです。
義兄さんがどんなに高級なお店にお連れしても、なんにもおっしゃらないのに、「今日は口に合ったようでよかった」と奥様。
伺うと、上のお兄さんお姉さんとは14.12歳離れていらっしゃるんだそうで、末っ子の奥様がかわいくて仕方ないんだろうなぁと感じる事がいっぱいありました。
そんな親御様から見たら「小さかった◯◯ちゃんが、こんな風にもてなしてくれるようになったなんて」と、感激なさって、その嬉しさを「おいしい」って言葉になさったんじゃないかなぁと思うのです。
双方の想いを伝え合うお役に立てたのかなぁと思うと、わたしまであたたかい気持ちになって、ほんとうによかったなぁと胸がいっぱいになりました。

素敵なお誕生会でした。
A様、ありがとうございました。
  1. 2011/03/03(木) 03:48:43|
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